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オリジナル/鏡像恋愛 出逢い


慎一郎の背中越しに小さな頭が覗いている
青臭いガキ。
慎一郎の袖口をぎゅっと握りしめて俺を伺い見てる。
人見知りするタイプなのかおれと目が合うとすぐに視線を地面に落としてしまう。

俺がどうしてここへ来たのか、慎一郎は尋ねることもない。
俺も話すつもりもない。
俺を認めない奴らの事を、忘れるためにここへ来たんだから。


街を飛び出して昔の男の許を訪ねてみれば、
おまけがついていやがった。
ヤツのことだ、とっくに手がついているんだろう。

別に、かまわない。慎一郎が何をしていようと。

ヤツの後ろから出てこようとしないガキを無遠慮に眺める。
柔らかそうな茶色の髪。袖口から覗く白い肌。
かすかに開いた唇。
おどおどと視線を泳がせている瞳。
…捨てられた子犬を思わせる。

イタイケなころの俺に似てるか?
くくっ、自分で言うか。
慎一郎に出会ったころの俺もこの年頃は普通の子供だった。

ヤツに男の味を教えられ、おぼれて育った結果が、今の俺ってわけだ。



泣かせてみたい。
目の前の姿を見て、無性にそう思った。
首輪をつけ、拘束し…白い肌に傷を付けて…這いずらせてみたい。
いじめて、嬲って、俺をねじ込んで。
そう、俺から離れられなくなるまで、俺を刻みつけてやろう。

慎一郎がいぶかしげに、ほんの少し眉間に皺を寄せていた。
俺が何を考えているか図りかねているのだろう。
あんたと別れてから結構荒波にもまれてね、これでもジンセイベンキョウしてきたんだ。
慎一郎の知っている昔の俺とは違うぜ。

俺は久々の獲物に笑顔を向ける。
今まで何人もたらし込んできた極上の笑みを浮かべる。
子犬の頼りなげな表情にようやく笑顔が浮かんだ。


子犬はようやく庇護者の側を離れ俺の前へ歩み寄る。
「はじめまして、和志です」


それが、俺と和志の最初の出逢いだった。



オリジナル/鏡像恋愛 出逢い   改稿2011/09/16
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