CG&NOVEL TOP
 
■オリジナル
  短編集1
  短編集2
   おさななじみ
   オレ達の場合
   それが好き
  ●休日出勤
 
■オリジナル
  連作〜鏡像恋愛1
  連作〜鏡像恋愛3
 
■オリジナル
  ショタ短編集
 
頂き物+α
  
全年齢系CG
 
 
■■■
更新記録&サイトマップ
瑞生のこと
リンク
ブログ
メールフォーム

オリジナル/短編集/休日出勤


初老の男が秘書嬢に案内されオフィスへ現れた。
出迎えた私に平身低頭といった態度で手を差し出す男。
彼はアメリカの田舎町の小さな基盤屋だったが、たった一つのチップの開発で今では業界1.2を争う程にのし上がった男だった。

彼はまた、貪欲な男だった。
私の属するこのコンツェルン傘下に加わりまた一歩上へ昇ろうと画策し、ついにはこの摩天楼の一角にオフィスを与えられたのだ。

「さあ、ここに、貴方の椅子にお座りなさい」
私の言葉に男は相好を崩した。
小柄な体躯をひょこひょことゆらし重厚な椅子に腰を降ろすと、彼の野望の出発点となる「城」を満足げに眺め渡した。
彼の為に誂えられたマホガニーのデスクの上に目をやったとたん彼の視線が一点に釘付けになった。
私が用意したささやかな贈り物に気がついたようだ。


そこには彼がこの場に辿り着くために差し出した哀れなこひつじの姿をおさめたフォトスタンドが飾られていた。
「貴方はよい部下をお持ちだ」
私はフォトスタンドを、手にとり写真の中の端正な顔に指を走らせる。
「貴方は幸せな方だ、ミスター」

そう、彼の未来は、この哀れなこひつじによって築かれたのだ。



「取り引きといこうか?」
私のその言葉で、儀式がはじまった。
捧げられるべきいけにえは、
自ら袋小路に迷い込んだ、哀れな青年。
蒼い眼をしたこひつじ。


私の目の前で青年はワイシャツのボタンをひとつひとつ外していく。
値踏みするように眺める私の視線から顔を背け、唇を噛み締めている。
全てのボタンを外したところで彼は動きを止めて私の様子を窺っていた。
「続けて」
私の言葉に彼は諦めたようにベルトに手をかけた。

 

普段は活気に満ちたこのオフィスも休日の今は私と彼の二人きりだ。
彼は一ヶ月前から私の元へ派遣されていた。
近々我が社と合併される米国籍企業の人間だ。
合併調印まで後少しというところで交渉が難航ししびれをきらした彼のボスが
交渉役チームの一員として彼を私の元へ寄越したのだ。
一介の管理職の私をターゲットに選んだ彼のボスの調査能力には感服する。
私はグループ企業のトップ、白谷老〜白谷会長に唯一干渉できる立場にある。
齢70を数える白谷老の唯一人の血族。彼が愛した唯一の女の忘れ形見。

それが私だ。


愛妾だった母がなくなった時私は中学の卒業を間近に控えていた。
母の他に身寄りもなく進学の夢もとざされ、途方に暮れていた私の前に父が接触してきた。
本妻との間に子供のできなかった父は、私を認知し白谷の家に引き取ろうと申し出たのだ。

私には父はいない。
白谷老は、母の面ざしに似た私を、抱いたのだ・・・・・
父ではなく、男として。

その時から私は白谷老の愛人になった。


私は幼いながらも彼の愛人という地位を充分に利用した。
そうする権利があると、彼に躯を与える度に心に刻み込んだ。

結局、私は白谷の籍には入らなかった。
私は彼の影ながらの後援を受け、高校、大学と進学した。
私と白谷老の親子関係は秘匿された。

私の大学卒業と同じくして
白谷の本妻も病没し白谷の直系は私だけとなった。

私と白谷老の関係はその後彼の企業に職を得た頃には逆転していた。

白谷老を、このコンツェルンを動かしているのは、今や、私なのだ。


青年はワイシャツの前をはだけ、黒いビキニパンツにつつまれた下半身を私の前に曝している。
私は彼の鎖骨に触れた。
彼は私からのがれようと躯をそらした。
「ミスター、こんなことをしてなにが楽しいんです?」
彼の詰問を無視して柔らかで、弾力のある肌触りを楽しむ。
「思った通り、君はきれいな躯をしているね」
指を下へ動かし淡い桃色にそまった乳首をつつく。
「このつぼみを最初に味わった男に私は嫉妬してしまうね」
「私はゲイじゃない!」
私の言葉に青年は頬をぱっと朱に染めて叫んだ。
「そう?」
私は彼の胸を勢い良く突いた。
青年は背後の会議机に倒れこんだ。
「じゃあ、感謝してもらわなくてはいけないなぁ。」
私はネクタイを緩めながら言葉を続けた。
「私が、君の最初の男というわけだ。」

ビキニパンツをずらし彼のペニスを外気に曝す。
縮こまり力なく頭を垂れているペニスを指で辿る。
「さ、さわるなっ」
「嫌なら、私を突き飛ばして逃げたらいい。」
蒼い眼が私をねめつける。
「君が私を拒否したら、交渉はストップ。ジ・エンドだ。
そうなったら、君のボスはなんとおもうかな?」
ごくん、と彼の咽がなった。
「ビジネスだよ。」
私は彼のペニスを掴んだ。
そう、これは、ビジネス。

「選ぶのは君だ」

青年は、諦めたようにまぶたを閉じた。

会議机の上で、足を大きくひろげて下半身を私の前に曝し青年の白い肌が紅く染まっていく。
萎えていたペニスも今では大きく頭をもたげていた。
そのペニスには白いパットがまかれていた。
それは市販されている低周波治療器を、本来の目的以外で使用できるように少しばかり改良したものだった。
手許のスイッチのパワーを少しずつあげていくと青年のペニスに激痛が走るのか大きく悲鳴をあげる。
「大きな声を出すと、人がきてしまうよ」
そう、ここは日本。
ワーカーホリック、ワーカーアニマルと評される日本人だ、休日とはいえ出社し仕事をしている社員がいる。
このオフィスには事前に人払いをかけているとはいえ、彼の悲鳴は余りにも大きすぎる。
面倒が起きる前に釘をさしておくに越した事はない。
「交渉団の君がこんな格好で男に躯を開いているところをみられたら、大変な事になるだろうね」
息を吐く度に大きく上下する胸元に垂れたネクタイで彼の口を塞ぐ。
スイッチを切り替えパワーを少しずつあげる。
彼の菊座に差し込まれた細い棒がびりびりと振動しはじめた。
この棒が、この低周波治療器が特別製たる所以だ。
アナルバイブ付きの低周波治療器。
メイド・イン・ジャパン。
日本人の発想の豊かさには脱帽してしまう。


ペニスにまかれたパットの攻撃的な刺激とはちがう微妙な刺激に青年は腰をうごめかしはじめる。
尻の下敷きになった、書類の束がくしやくしゃとしわになっていく。
彼が持ち込んだ、プレゼン用の書類だ。
まだ若い彼の初めての大任。
本来なら、彼はここで私に合併交渉の根回しをするはずだったのだ。


「ストリッパーみたいに、尻を振ってごらん」
私の言葉に、目もとを紅くそめた彼は口からよだれにまみれたネクタイを吐き出し、叫んだ。
「このッ 変態野郎! 殺してやる!」
まだ逆らう元気があるとは、恐れ入ったものだ。
「その変態野郎に、君は売られたんだよ」
そう、彼は知らされていなかった
歳若い彼がこのチームに抜擢された本当の訳を。
彼は合併交渉成功の為の生け贄だった。
彼のボスは私に、彼を差し出したのだ。
「君のボスは、リボンをつけて私にプレゼントしてくれたんだ」
私の言葉を彼が理解するのに、しばらくかかった。
「どうぞ、御自由におつかいくださいって、ね」
大きく眼をみひらいて、首を左右にゆっくりと振った。
「NO!」
彼の絶望の声が静かなオフィスに響いた。


哀れなこひつじの乱れた姿を写し取った写真を彼のボスの前に差し出す。
「貴方は良い部下をお持ちだ」
私はぱちんと指をならした。
入り口とは反対側のドアが開いて、スーツ姿のこひつじが姿をあらわした。
「おいで」
私の手招きにやつれた表情の彼は素直に従う。
その間、彼は一度も彼の上司の方を見なかった。
私の少し後ろに並んだ彼は顔を伏せ、床のカーペットを見つめている。
「私は貴方の望みを・・・・白谷老へ伝えました。会長は貴方の手腕を高く評価しています。
貴方は我がグループに多大な利益をもたらしてくれると、ね。」
この小さな城の主人は自らが差し出した生け贄にちらちらと視線を向けながら、
私が何をいいだすのかと、不安げな様子だ。
「白谷会長は一代でここまでに我がグループを育て上げた方です。
我が社に損益を与える者には容赦しない。貴方は我が社の為に利益をあげてください。
少しでも損益をだすと、どうなるかは、・・・・わかりますね。
私の助力はここまでです。後は、貴方次第。・・・・いや、彼次第かな・・」
「・・・・・ジョッシュ・・」
男は椅子から立ち上がり身を乗り出すようにしてかっての部下の名前を呼んだ。
蒼い眼のこひつじはびくりと反応し、やっと顔をあげ彼のボスを見た。
「・・・ボス・・・・父さん・・」
か細い声が青年の口からもれた。
私は再び指をならした。
青年は、彼を売った父親から視線を外し私の前に跪いた。
私の下半身をさぐりジッパーに手をかけ引き降ろす。
まろぴでた私のペニスを口に含む。
あの日から、何度も何度も繰返してきた哀れな生け贄の奉仕を、父親の前で行う。
私はゆっくりと動く青年の金髪を手ですいた。
「貴方は本当に、良い部下をおもちだ、ミスター」
父親に、売られた哀れな男。
絶望しか映さない蒼い眼をしたこひつじ。
「私は、とても彼を気に入りましたよ」
そう、
はじめて父にあえると知ったあの日の私。
おさない頃から想像していた父の姿。
母が短い生涯をかけて一途に愛した父。
初対面の日。
その父のペニスが私の中にめり込んだ・・・・あの日・・・。
父はいない、と思い知らされた、あの日の私の、
あの時の私と同じ眼をした、この青年が。
「とても、きにいりました。ミスター」

 

「私から、プレゼントを差し上げましょう、ミスター。貴方の未来を祝して」

私は再び指を鳴らした。

「ジョッシュ・・・」
おろかな父親の、父親だった男の絞り出す悲痛な声が、
父親の股間に顔を埋めている私のこひつじの耳にどう届いたのか。


私にも、わからなかった。





オリジナル/短編集/休日出勤

三乃梅あふろ様
文 瑞生


このページTOPへ